佐々木実之の歌集「日想」

2012年春の彼岸に急逝した佐々木実之の短歌・歌集を、妹が少しずつご紹介するページです

恐龍の歌

鹿取未放さんのブログ 『かまくらdeたんか』に、渡辺松男さんの恐竜の歌を鑑賞する記事が載っています。http://blog.goo.ne.jp/david1993-2003/d/20140613

ジェット気流に透かされている天つ空 恐竜はかくさみしかりしか

6人の方が色々なご意見を出されていて興味深いので、ぜひブログをご覧ください。

 

そこで、佐々木実之が詠った恐龍の歌にも触れて頂いています。

恐龍は引きずりて行く太き尾の痛きゆゑ滅びたるにあらずや

「ある意味荒唐無稽だが、恐龍の太き尾に仮託された自意識が何とも痛ましい歌である」。とコメントして頂いています。

 

恐龍の歌は、他にもこんなものがありましたのでご紹介いたします。

2011年に続けて詠っています。(『日想』p36~37)

・龍の字を持ちて生まれし芥川顎に指添へ頭ぞ大き
・億年を経たる骸(むくろ)の立ち上がる科学博物館の恐龍
・大気圧強からむ日をひたすらに草食龍の草はむ光
・南国は花にゆたかの色あれば恐龍の肌美(は)しくもあらむ
三葉虫あるいは肌を食ふこともあらむ肉食龍の水浴ぶるとき
・骨格を正して立てる恐龍のもはや届かぬ恋の響きよ

みなさんはどんな風にお感じになられるでしょうか?